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- 風が強いとトスが流れてサーブが入らない
- いつものショットがアウト・ネットしてしまう
- 風向きにどう対応すればいいか分からない
この記事を読めば、風速の目安から風向き別の打ち方まで、風を「味方」にするコツがわかります。
風は相手にも同じだけ吹いているもの。しかも「風を読んで利用できる人」は意外と少数派です。風への対応を知っているかどうかで、むしろ格上相手に勝つチャンスにもなります。
この記事では、風の強い日のテニスで気をつけるポイントを、風速の目安 → 風向き別の打ち方 → 回転の使い分け → サーブ・リターン・ボレー → ダブルス → 装備とコート選びまで、具体的にまとめました。
風はどのくらいからテニスに影響するのか|風速の目安
まずは「今日はどのくらいの風なのか」を数字で把握しておきましょう。体感の目安は次のとおりです。
| 風速 | 体感 | テニスへの影響 |
|---|---|---|
| 〜3m/s | ほぼ気にならない | 通常どおりでOK |
| 4〜5m/s | 旗や木の葉が揺れる | ロブやトスに影響が出始める |
| 5〜8m/s | 髪が乱れる/ネットがはっきりそよぐ | ここから「風対応モード」。ショット選択を変える |
| 8〜10m/s | 傘がさしにくい | ラリーが安定しない。戦術を大幅に切り替える |
| 10m/s〜 | 風に向かって歩きにくい | まともな試合は困難。中止・中断の判断も視野に |
気象庁の階級でいうと、10m/s以上が「やや強い風」、15m/s以上が「強い風」、20m/s以上が「非常に強い風」です。テニスの場合、一般的な階級で「まだ強くない」とされる5m/s前後から、すでにプレーははっきり変わります。
当日の風速を調べる方法
ヤフー天気などの「市区町村の天気」で、時間ごとの風速・風向きが確認できます。コートに向かう前にチェックしておくだけで、心の準備ができてミスが減ります。「今日は南南西の風6m」と分かっていれば、ウォームアップから対応を試せます。
中止・キャンセルの判断は?
公営コートの多くは、雨天と違って強風だけを理由にした無料キャンセル制度がないのが実情です。ただし自治体によっては強風時の無料キャンセル運用基準を設けているところもあり、サークルや練習会の募集要項でも「風速5m以上の強風注意報が出た場合は中止」といった条件を明記しているケースがあります。
判断に迷ったら、安全面を優先してください。ネットポストやベンチが動く、フェンスが鳴る、ボールカゴが転がるといった状況なら、無理をせず切り上げる勇気も必要です。
コートに入ったら最初にやること|風向きの確認
コートに入ったら、最初にやることは風向きの確認です。次のどれかを見れば一目で分かります。
- ネット…どちら側にそよいでいるか
- 旗・防風ネット・木の枝…揺れる方向
- ボールを軽く上に投げる…どちらに流れるか
- 芝や砂ぼこりの動き…オムニコートなら砂の流れが分かりやすい
そして重要なのが、チェンジコートのたびに確認し直すこと。風向きは時間帯で変わりますし、コートを替われば有利・不利が入れ替わります。「今は自分が風下」「次は風上」と意識するだけで、ショット選択の精度が変わります。
【向かい風】自分が風下から打つとき
自分に向かって吹いてくる風です。打ったボールは失速して飛びにくくなるので、思い切り振ってもアウトしにくくなります。普段ならオーバーしそうな強打も、風が押し戻してちょうど収まります。
打つとき
- いつもより強く、深く打ち込んでOK。振り切らないとネットにかかります
- ロブが最大の武器。風で失速するので深いロブが決まりやすく、相手のスマッシュも風で狂います
- ドロップショット・アングルショットも効果的。風でさらに失速し、相手が追いつけません
- ストレートへの打ち込みで一気に決めにいく展開も有効
受けるとき
- 相手のボールは風に乗って伸びてくるので、テイクバックを早めにする
- 打点を食い込まれないよう、ポジションを少し後ろに取る
- いつもと同じ打点で打てるように準備する意識が大切
【追い風】自分が風上から打つとき
相手コートに向かって吹く風です。自分のボールが風に乗って伸び、いつも通り打つとアウトしやすくなります。
ここでやりがちなのが「力を抜こうとしてネットにかける」というミス。調整は力加減ではなく弾道で行うのがコツです。
打つとき
- ネットを越える高さを、いつもよりボール1〜2個ぶん低く通す。これだけで長さがコントロールできます
- スピン量を増やして弾道を抑える
- 低くて速いボールで攻め続けるのが基本方針。風に左右されにくい弾道です
- ロブとムーンボールは封印。滞空時間が長いほど流されます
受けるとき
- 相手のボールは失速して浅くなりやすいので、ポジションを前に取る
- しっかり踏み込んで、自分から攻める
- 相手のロブは失速して短くなるので、下がりすぎない
やや高度ですが、風上から打つスピンボールは相手の手元でさらに伸びます。追い風+スピンは、コントロールさえつけば強力な組み合わせです。
【横風】いちばん厄介なパターン
💡 横風はコートを横切る風で、ボールの軌道が左右に曲がるため、お互いに気持ちよく打ち合えなくなります。ここを制すると差がつきます。
打つとき|「コートが横にズレている」と考える
左から右に吹いているなら、まっすぐ打ったボールは右にカーブして流れます。ということは、風の強さのぶんだけコートが左(風上側)にズレていると考え、いつもより風上に向かって打てばいいわけです。逆向きの風も同じ考え方です。
- 風上側に向かってラリーしてミスを減らす
- チャンスボールは低い弾道で風下側に打ち込む
- 横に切れていくスライスは、風と方向を合わせると相手にとって非常に取りづらい武器になる
- 滞空時間の長いふわっとしたボールは流されやすいので注意
受けるとき|体から離れる側で取る
相手のボールも同じようにカーブして飛んできます。ここでのポイントは「ボールが体に食い込んでくるより、体から離れていく方が返しやすい」という事実です。
- 左から右の風/右利き…ボールは右に流れるので、正面〜バック側に来た球は少し回り込んでフォアで打つ意識を持つと打点に入りやすい
- 左利きの場合は同じ状況でバックハンドを多めに使う形になります
- とにかく足を動かして、打点にしっかり入ることを最優先に
風向き別・戦術早見表
| 自分が打つとき | 相手ボールへの対応 | 有効なショット | |
|---|---|---|---|
| 向かい風(風下) | 強く深く振り切る | 伸びてくる/テイクバック早め・少し下がる | ロブ、ドロップ、アングル、強打 |
| 追い風(風上) | ネット上を低く通す/スピンで抑える | 失速する/前に詰める | 低く速いボール、スピン、スライスサーブ |
| 横風 | 風上側を狙って打つ | 曲がってくる/体から離れる側で取る | 風と同方向のスライス、風下側への打ち込み |
回転を使って風を「味方」にする
ここまでは「風の影響を抑える」話でした。もう一段上に行くなら、あえて風の影響を増幅させて武器にするという発想があります。
高く打つほど風の影響は大きくなる
ボールが風の影響を受けるのは空中にある時間だけ。つまり高く打てば滞空時間が伸び、風の影響も増えます。
さらに、テニスコートのフェンスには防風ネットが張られていることが多く、そのネットより高い位置ではもっと強い風が吹いています。高い弾道は「風の強い層」を通るぶん、効果も倍増します。相手を崩したいときは、意図的に高く打つのも手です。
風向き×回転の組み合わせ
風上(追い風)と風下(向かい風)で、同じ回転でも結果が変わります。
| スピンで高く | スピンで低く | スライスで高く | スライスで低く | |
|---|---|---|---|---|
| 風上から(追い風) | バウンド後に高く跳ねて伸びる | バウンド後にとにかく伸びる | なかなかバウンドせずタイミングを外せる | バウンド後に低く伸びる |
| 風下から(向かい風) | スピンロブが深く打っても入る | 上空で失速し浅く落ちる=アングル・足元に沈める | 強く打っても失速し相手が打ちにくい | かなり浅くなりドロップ気味になる |
特にスライスは風上・風下どちらからでも影響を受けやすいので、使い勝手が良い球種です。「風の日はスライスを増やす」と決めておくだけでも、ミスが減って相手は嫌がります。
サーブが入らない人へ|トスと球種の工夫
風の日に最も崩れやすいのがサーブです。原因のほとんどはトスが流されること。対策は3つあります。
① トスは低く、体の近くに
高く上げるほど、風にさらされる時間が長くなります。トスを低めに、体の近くに上げてクイックモーションで打つと安定します。普段からクイックサーブを1本持っておくと、風の日の保険になります。
② 流れたら迷わず取り直す
トスは何度でも上げ直せます。流れたと感じたらキャッチしてやり直す。1ポイント失うより、数秒の仕切り直しの方がずっと得です。ここをためらってダブルフォルトを重ねる人が本当に多いです。
③ 風向きで球種を使い分ける
- 向かい風のとき…スライスサーブがよく曲がって効く。風で失速するぶん、しっかり厚く当ててスピードを出す
- 追い風のとき…スピンサーブが風に乗ってより伸びる。フラットはオーバーしやすいので回転量を増やす
- 横風のとき…風上側を狙って打つ。ワイドとセンターで曲がり方が変わる点に注意
そして何より、「これさえあれば入る」という一本を持っておくこと。多くの人にとってはスライスサーブがそれにあたります。トスを高く上げなくても打てるので、風の日のセカンドサーブで頼りになります。
リターン・ボレー・スマッシュの注意点
リターン
風の日は相手のサーブも乱れます。ファーストが入る確率が下がる=セカンドを叩くチャンスが増えると考えて、少し前に構えておきましょう。ただし追い風のサーブは伸びるので、コートによって立ち位置を変えるのがコツです。
ボレー
浮いてきたボールが風で流れるため、ラケット面を作るのを早めるのが基本です。強く弾く必要はありません。風の日は相手のボールが浮きやすいので、ネットに出る価値はむしろ上がります。
スマッシュとロブ
- スマッシュは最難関。落下点が動くので、必ず足を動かし続ける。無理ならワンバウンドさせて確実に返す判断も正解です
- ロブは向かい風で最強、追い風で最悪。自分がどちら側にいるかで採用・封印をはっきり分ける
- 相手が風下でロブを上げてきたときは、下がりすぎないこと。失速して短くなります
ダブルスなら風はチャンスになる
意外に知られていませんが、風の日はダブルスの方が有利に運びやすいです。理由はシンプルで、風が強いと誰のボールも打点がブレて浮くから。
- 前衛が叩けるチャンスボールが増える。普段は打ち負ける相手にも勝機が出ます
- 前衛は「浮いてきたら触る」と決めておくと、迷いが減ります
- ペアで「今は風下だからロブ多め」「風上だから低く速く」と方針を共有しておく
- サーブが不安定なぶん、後衛は前に詰めてセカンドを叩く準備を
チェンジコートのたびに一言だけペアで確認する。これだけで風の日の勝率は変わります。
風に流されない構えとフットワーク
風の日は、重心を少し低く保つことが基本です。膝を軽く曲げた状態をキープすると、突風で体が流されてもバランスを崩しにくくなります(曲げすぎは動きが鈍るので注意)。
- 軌道が読みづらいぶん、いつもより小刻みに足を動かして最後の微調整をする
- 打点に「入りきる」ことを最優先。振り遅れよりも、打点がズレることの方が致命的です
- ナイスショットの基準を少し下げる。完璧を求めるとミスに引きずられます
意外と見落としがちな装備対策
風の強い日は、ボール以外にも気をつけたいことがあります。
- サングラス…オムニ・クレーコートでは砂が舞うため、目を守る意味で効果大
- 帽子…砂や花粉で髪が乱れるのを防げます。ただし飛ばされないよう深めにかぶる
- マスク/フェイスカバー…春先は花粉シーズンと重なりやすいので併用を検討
- ウインドブレーカー…風が強い日は体感温度が下がります。ただしバタつくものは避ける
- ボールカゴ・荷物の固定…転がって他コートに迷惑をかけないよう、重しやフェンス際に置く
- コートに置くタオル類…飛ばされやすいのでバッグに入れておく
小さなことですが、目に砂が入ると一気に集中力が切れます。装備で防げるストレスは先に潰しておきましょう。
参考までに、砂ぼこり対策のサングラスと、風で飛ばされにくい深めのキャップの定番はこちらです。
🎾 都営テニスコートの持ち物リスト【初心者向け完全版】:サングラス・帽子など、風の日に役立つグッズも含めて持ち物を総チェックできます。
🎾 テニス用フェイスカバーの選び方とおすすめ|息苦しくない・焼けない一枚:砂ぼこりや花粉、日差しから顔を守るならフェイスカバーも有効です。
風の影響を受けやすいコートを知っておく
実は、コートの立地によって風の強さは大きく変わります。同じ市内でも、風がほとんど気にならないコートと、もろに吹きさらしになるコートがあります。
| 風が強くなりやすいコート | 比較的おだやかなコート |
|---|---|
| 河川敷沿い(遮るものがない) | 住宅街の中にあるコート |
| 屋上・高台にあるコート | 林や樹木に囲まれたコート |
| 海沿い・埋立地 | 建物に囲まれた立地 |
| 広い公園の中央部 | 防風ネットが高いコート |
もうひとつ見ておきたいのが防風ネットの高さです。ネットが低いコートは、ボールが少し高く上がっただけで強い風の層に入ります。逆にネットが高いコートは、ロブを上げてもある程度は守られます。よく行くコートの特徴を覚えておくと、当日の作戦が立てやすくなります。
🎾 雨でもテニスできる!東京のインドア(室内・屋内)テニスコート8選:風が強い季節は、天候の影響を受けないインドアコートという選択肢もあります。
風の日こそ勝つための試合運び
最後に、いちばん差がつく部分です。風が強い日は、どうしてもネガティブになります。「家に帰りたい」と思うのは上級者でも同じです。
それでも忘れてはいけないのが、風は相手にも等しく吹いているという事実。しかも「風を読んで利用できる人」は少数派です。知っているだけで自分が有利なのです。
- 自分のリズムを整えるより、相手のリズムを崩すことに意識を向ける
- 風下のゲームは粘って取りにいく、風上のゲームは攻めて短期決戦——のように役割を分ける
- ミスが増えるのは当たり前。1本のミスを引きずらない
- リードしているときほど、安全な弾道を選ぶ
「風対応モードでいこう」と切り替えられれば十分です。風を言い訳にして集中を切らした方が負けます。
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よくある質問
Q. 風速何メートルから中止にすべきですか?
明確な統一基準はありません。実務的には10m/sを超えたあたりから、まともなラリーが成立しにくくなります。サークルや練習会では「風速5m以上の強風注意報で中止」といった条件を設けている例もあります。ネットポストやベンチが動く、荷物が転がるといった状況なら、安全のため切り上げる判断を。
Q. 風の日は誰が有利ですか?
一般にはミスが少なく、球種の引き出しが多い人が有利です。強打一辺倒の人ほど崩れます。だからこそ、格上相手でも風の日はチャンスになります。
Q. 向かい風と追い風、どちらが難しい?
多くの人にとっては追い風(風上から打つ側)の方が難しいです。アウトを怖がって振り切れなくなり、結果ネットにかけるという悪循環に入りやすいためです。弾道を下げる意識で対処してください。
Q. 風でトスが流れます。どうすれば?
トスを低く・体の近くに上げ、流れたら必ず取り直してください。それでも不安ならスライスサーブに切り替えるのが最も現実的な解決策です。
Q. 風の日の練習は意味がありますか?
大いにあります。打点に入るフットワークと弾道のコントロールが強制的に鍛えられます。無風の日には気づけない自分の課題が出てくるので、「今日は風の練習日」と割り切ると収穫があります。
Q. ラケットやガットで対策できますか?
直接の対策にはなりませんが、面が安定するラケットやテンションをやや高めに張ることで、風でズレた打点でもコントロールを保ちやすくなる面はあります。ただし優先度は、風向きの読みとフットワークの方が圧倒的に上です。
まとめ
風の強い日のテニスで気をつけることを、もう一度整理します。
- 風速5mを超えたら「風対応モード」に切り替える。10m超は中止も検討
- コートに入ったらまず風向きを確認。チェンジコートごとに再確認
- 向かい風=強く深く振り切る。ロブ・ドロップ・アングルが効く
- 追い風=ネット上を低く通す。ロブは封印、低く速い球で攻める
- 横風=コートが風上側にズレていると考えて狙う。受けるときは体から離れる側で
- 高く打つほど風の影響は増幅。防風ネットより上はさらに強い
- サーブはトスを低く、流れたら取り直す。向かい風はスライス、追い風はスピン
- ダブルスは前衛のチャンスが増える。浮き球を狙う
- サングラス・深めの帽子で砂ぼこり対策
- 河川敷・屋上・海沿いは風が強い。コートの立地も覚えておく
風が吹いたら「やったー、テニス日和だ」とまでは言わなくても、「よし、風対応モードでいこう」と切り替えられれば十分です。知っている人が有利になる——それが風の日のテニスです。


